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体験に基づいたSM(ソフト)の官能小説と雑記
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可奈が自分を誘っているのは、態度から明らかだった。

しかし、女性の中には気があるふりをするものの、いざ誘うと「そんな気はなかった」とはぐらかす人もいる。自分の価値を確認したがるタイプだ。

もし、可奈が私の好きな相手だったら乗るところだが、残念ながら可奈は私のタイプではない。

彼氏がいるという話はうそかもしれないし、割り切った関係を求めるふりして束縛するタイプかもしれない。私は可奈の意図を考えていた。

「…お前さ」

「うん」

「そういう話をするんだったら、場所選べ」

「あっ…」

可奈は夢から覚めたように、慌てて辺りを見回した。

「違うの、違うの。今日はこの話をする気はなかったから」

大きく手を振りながら、可奈は弁解する。

「そうなの?」

「うん。ふ…ふざけて彼氏の話をしようとしただけなのよ。本当に。そんなつもりじゃ…」

「そう」

「う、うん」

「本当にそう?」

「あ、えっと…。そう…」

可奈は目を泳がせる。うつむき、落ち着かないように髪をさわり、頬をおさえ、意味もなくテーブル上の箸の位置を変える。

私は可奈の言葉を待った。

しばらくそんな状態が続いた後、可奈は開き直ったように息をつき、私を見た。

「この場所を選んだのは、本当にそんなつもりがなかったからなの…でもSさんと話すうちに、Sさんなら笑わないんじゃないか…Sさんなら…受け入れてくれるんじゃないかって思ったんだと思う…信じてもらえないかもしれないけど、自分でもわけがわからないの。お酒が入っているからじゃなくて、気づいたら別人みたいに…言葉がこぼれて…」

私は黙ってうなずいた。

「はぁ…私ってホントバカ。恥ずかしい。こんなの私のキャラじゃないのに…。忘れて。Sさん。この事はホント、忘れて」

そう言って頬を赤らめ、可奈は落ち着きのない様子でテーブルの上の料理をつまむ。職場での男っぽい彼女とはまるで別人だ。

「本当に、忘れていいの?」

私は真顔で尋ねた。

「えっ…」

可奈ははっとしたように、私を見る。こちらの意図を探るように、目を動かす。

「忘れて…ほしい…ってわけじゃ…」

可奈は言葉をつまらせ、うつむいた。

「その…」

「…えっと…」

「…」

しばらく沈黙すると顔をあげ、何かを言おうとして言葉を飲み込む。

「じゃあ、しっかり覚えていて欲しいんだ」

「そ、そ、そういうわけじゃ…えっと…」

可奈はしどろもどろになりながら、慌てて手を振る。そしてまた口ごもり、こちらを見てはうつむき、またちらちら見る。

そんな可奈の様子を、私は無言のまま楽しんでいた。

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都内在住。体験に基づいたSM小説と雑記のブログ。


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