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体験に基づいたSM(ソフト)の官能小説と雑記
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可奈の尻を再び掴むと、ペニスの先端を女溝に押し当てる。可奈の背が大きく揺れた。

弛緩していた身体が一気に締まって硬直し、緊張した様子が背からも伺えた。

しかし、その緊張とは裏腹に、身体はペニスを受け入れようと弛緩していた。

ほんの少し押せば簡単に入りそうなほど、膣口周辺は濡れ、花びらもまた柔らかく、鬼頭に絡み付いていた。

私は右手で尻を掴んだまま、もう一方でペニスを持ち、膣口とその周辺を先端で撫で回す。

膣口で得た愛液をローションのように伸ばす。女陰をすみずみまで濡らし、続いて尻も濡らす。

しばらく繰り返すと、可奈の陰部全体がテラテラといやらしく輝いていた。

鬼頭が女陰周囲を撫で、再び膣口に戻って液をさらうと、可奈はピクピクと反応し、「あっ、あンっ」と息を漏らした。

私も先端を膣口に戻すたび、今度こそ挿入するように見せかけて、ペニスに力を入れた。可奈の身体がわずかに緊張する。

しかし、やはり、挿入はしない。

同じように膣口に先端だけ挿すと、愛液だけさらって周辺を撫で回す。

「はァ…」

可奈は、開放感と未練の残る息を吐く。

それを何度も繰り返すうち、私が挿入するそぶりを見せても、彼女の身体はさほど緊張しなくなっていった。

私はペニスをぴったりと女陰につけたまま、手の力を抜いた。

両手で優しく尻を撫でまわすと、可奈は深く息を吐きながらゆっくりと身体をくねらせた。

そのまま腰に手を回し、指先と手の平を使って舐めるように手を這わす。

「クふゥ…ッん」

快楽の中にくすぐったさが混じるたび、可奈はどこか嬉しそうに身体をよじり、小動物のような軽い声を上げた。

腰からウエスト、わき腹に沿って手をそろそろと這わせ、脇の下の直前で両手の向きを変え、指先を可奈の乳首に向けた。

可奈の身体はいやらしい期待でいっそう熱くなる。

首を振りながら私の手を導くように身体をねじり、ねだるようにに熱い吐息を漏らす。

私は可奈の期待に応えるように指先を少しずつ、わざと時間をかけて這わせた。

指先を小刻みに動かし、蟲の足や触手のように彼女の胸を弄る。しかし、乳首の寸前まで這わせたところで手を戻す。

「はァ!!」

指先が乳首に届くか届かないかの所で戻され、緊張していた可奈の身体が一気に弛緩する。

私は戻した両手を、彼女の脇の下から一気に鎖骨に伸ばす。

「はふッんッ!!」

可奈が再び身体を緊張させ、声を上げる。

驚いたような、嬉しいような様子を見せた後、また俯いて、感じる場所を刺激されるのを、じっと待っている。

私は可奈の乳房をゆっくりと指先で撫で回す。

丸く回転させるように、内から外へ、外から中へと撫で回し、乳房全体をぎゅっと掴んで絞るように伸ばす。同時に、指先を乳首の方に滑らせる。

しかし、指先が乳首に触れそうになると手を戻し、また乳房を撫で回す。

しばらくそれを繰り返し、可奈が刺激に慣れ、反応が鈍ってくると、いったん手を尻まで戻し、今度は親指の腹でアナル周辺を撫で回す。

「えっ…そこは…あの…」

可奈が不安げな声を上げる。しかし私は声を無視したまま、アナルと尾てい骨を交互に刺激する。

可奈の身体がビクビクと、これまでにない程激しく反応する。

「アッン、そ…そこは…ダメぇ…」

可奈は数回、首を振る。

消えそうな不安げな声の中に、興奮と好奇心と期待とが入り混じるような、含みのある拒絶を見せた。


テーマ:SM - ジャンル:アダルト

多くの人がアダルトビデオを楽しんでいると思うが、何に興奮するかは、人によって異なるだろう。

演者の容姿はさておき、興味深いのは状況や過程の方だ。

しかし、他人とその手の話題をする時、素直に自分の(真の)性癖をさらす事が出来る人など、そうは居ないと思う。

少なくとも、私は言わない。

先日、ある女性と話していた時、たまにネットでアダルトビデオを見るというので、どんなジャンルのビデオを見るのか尋ねたところ、痴漢ものなのだという。

実際に痴漢されるのは嫌いらしいのだが、ビデオで他人が痴漢されているのが好きとのこと。

他人が痴漢されている所を見て興奮するだけなのか、されている自分を想像して興奮するのか、興味があったので尋ねてみると、残念ながらはぐらかされてしまった。(教えてくれとしても、それが本心かどうかなど分からないのだが…)

一方、他人の求める嗜好が分かる場所もある。

ビデオの販売サイトや、リンク集のリアルタイム検索ワード表示だ。

なるほど、そういうキーワードで他人がビデオ等を探すのかと考えると面白く、自分とは全く違う嗜好の人間がいると興味もわいてきて、例えそのキーワード自体に全く興奮する要素が感じられなくても、つい検索してみてしまうのである。

テーマ:エロ画像・動画 - ジャンル:アダルト

私は可奈の不意をついて立ち上がり、彼女の両腕を押さえた。そのまま背後に回り後ろ手にする。

「あっ…」

可奈が小さく声を上げる。抵抗しようとしたが、力の入り方から本気でないことが伺えた。

押さえつけた手首をグッと下ろすと顎が上がり、両乳房が揺れ開いて硬くなった乳首が上を向いた。

「さて、反撃だ」

可奈の耳元でそう告げた後、私はベッド上にあったバスローブの紐を取り、可奈の両手首を固く縛り上げた。

「んんっ!!」

可奈が熱っぽい声を出す。縛られた事による戸惑いや恐怖よりも、マゾヒスティックな本能が勝ったような声だった。

可奈の体を足で固定したまま、私は続いてもう一着のバスローブ紐を取ると、可奈の目を塞ぐ。

可奈は何も言わない。少し戸惑った様子は見せたものの、抵抗しなかった。

先ほどまでの挑発的な色は消え、何かを受け入れるような柔らかく妖艶な雰囲気をまとっていた。

そのまま可奈をひざまずかせ、上半身をベッドに倒す。

ストッキングのサスペンダーと薄紫のショーツで覆われた白く丸い尻が、既に縛られているように見えた。

横から可奈を見ると、乱れた黒髪の間から顔の左側だけが伺えた。唇は半開きのまま、熱い吐息を漏らし、その風でわずかに髪が動いている。

私は彼女の尻を少し乱暴に、ひっぱたく様にして両手で持ち上げた。ビクンと可奈の体が揺れる。

ショーツ越しに柔らかそうに盛り上がる恥丘があり、膣口辺りを中心に濡れた染みがある。

私はショーツの両端を取り、ゆっくりと下ろした。

ショーツを持つ私の手と可奈の尻の肌が触れたとき、一線を越える緊張感が芽生えた。

彼女の身体は既に熱を帯びていた。

ショーツの境界線が尻のきめ細かな肌を通りぬける。

陰部を通り抜け恥丘から離れる時、ショーツとの間に驚くほどの愛液が糸を引いた。

「びしょびしょだ」

私がそう言うと、可奈は恥ずかしがるように軽く身体をねじった。

太もも、ふくらはぎと通し、そのままショーツを剥ぎ取った。

「パンツがすごく濡れてる。これじゃあ、とても穿いて帰れないね」

私はショーツをベッドの脇に置こうとしたが、ふと案が浮かび、自分の上着のポケットにしまい込んだ。そのまま上着を脱ぎ、椅子に掛ける。

再び、可奈の背後に回り、尻の前に顔を近づけた。

ガードルに覆われたままの尻と、濡れて鈍い光を放つ恥部をじっくりと観察する。

達した後ということもあって、私を受け入れるように微かに花びらが開いている。

「こっちはもっと、ぐしょぐしょだ…」

そう言って、私は女の溝を人差し指でなぞった。

指先に蜜が絡みつき、クチュっといやらしい音をたて、滑るように軽やかに動く。

「はあァッン」

不意をつかれたのか、可奈が声をあげ、のけぞるように身体を緊張させた。

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GW中、どこにも出かけなかったので、何箇所か知人と回って来た。

話題になっているアナと雪の女王も観てきた。もちろん字幕版。アニメにはあまり興味がないのだが、知人がどうしてもというので行くことになった。

観た率直な感想は、思っていたよりもよかった…だった。映像の美しさと、本編前の余興など期待していなかったので驚いた。

一方、サウンドトラックを売るための映画作りというある種のあざとさが、少しだけ気になった。

翌日は鎌倉へ。由比ヶ浜周辺に寄りたい店があるという知人に付き合うことに。店は高台にあり、殆ど障害のない水平線に沈む夕日が綺麗だった。

鎌倉だけではないが、この辺りの海岸に行くと毎回、鳶に食べ物を奪われる人を見かける。

私はこの光景が割と…というか相当気に入っていて、食べ物を手にする観光客をボーっと眺めて長い時間を過ごす。

ああ、その持ち方だと取られるな、だとか、このカップルは取られた時にどんなリアクションを取るのだろう、だとか、この女性客達はどんな声を上げるのだろうなんて考えると、なぜか胸が躍るのだ。
可奈の荒い呼吸が徐々に収まるにつれ、室内には再び静寂が訪れた。

互いに何も言わず、ただ時が流れた。

可奈は椅子にかけたまま頭を垂れ、こちらを見ないでいる。

呼吸音が聞こえなくなっても、両肩が大きくゆったりと上下し、余韻に浸るような様子で手と首を伸ばし、体を弛緩させていた。

あまりに静かなので、可奈が眠ってしまったようにも見えた。

突然、可奈が勢いよく体を起こした。

「何よ、私ばっかり恥ずかしい思いさせて!」

可奈は頬を高潮させたまま口を尖らせ、椅子から立った。

「こっち来て!!」

そう言いながら可奈は私の腕を引っ張り、巻き込みながらベッドに倒れこむと馬乗りになった。

「おいおい」

制止しようとする私の言うことなど聞かず、可奈は私の股間に手を当てる。

「何よ、気取ってたくせに、反応してるじゃない」

可奈は一瞬、ほっとした顔を見せた後、今度は勝ち誇った表情で私を見下ろした。

「それはそうだろ、男なんだから」

私が返事をする間に、可奈は早くもズボンのチャックを開け、もぞもぞと手を入れてペニスを取り出した。

「おい、可奈」

人前で自慰をしたのがよほど恥ずかしかったのか、可奈は何かを振り切るように硬くなったペニスを咥え、激しくしごき始めた。

ヂュブヂュブ

顎を上下に動かし、可奈はペニスを強く吸う。

ときおり挑戦的な目でこちらの反応を伺いながらしごいていたが、私がたいして感じていないと思ったのか、益々、むきになってフェラを続ける。

唾液と吸引のいやらしい音が部屋に響いていた。

快楽に溺れるというより、可奈の子どもっぽい仕草に愛らしさを感じながら、私は彼女を眺めていた。

ジュッブ、チュパッチュッパ

可奈は焦ったように手も使い、口と手とで私を激しく攻め続けた。

「そんなんじゃ、イカないよ」

私は両手を頭の後ろに回し、可奈を見下ろして言った。

「んんっ…」

可奈はペニスから口を離し、何かを言おうとしたが、再び咥え、今度は激しさの中にねっとりとした色を混ぜながら続けた。

鬼頭周りをチロチロと嘗め回したり、舌全体でペニスを包み込むようにし、器用に動かしながら顎を上下に動かす。さらに追い討ちをかけるように手で刺激をする。

何としても私をイカせようとしているようだった。

よほど独りでイッたのが恥ずかしかったように見える。

「可奈のイキ顔、カワイかったなァ」

そんな可奈の羞恥を煽るように、私が意地悪く笑って言うと、可奈は口を止め、顔を真っ赤にして私を睨み付けた。

私は続けて言う。

「唇が半開きになって、体なんかビクンビクンって痙攣しちゃってたなァ――」

可奈はペニスから口を離し、何かを言おうと口をパクパクと開けたものの、何も言い返せず、耳まで赤くなりながら悔しそうに口を曲げた。

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今日は雑記を。

朝、コーヒーを飲みに店に寄ることが多い。気に入る店もあるが、続けて同じ店には入らないようにしている。

ある程度の日数を空け、その店のなじみの客にならないようにするためだ。

最近のコーヒーショップは地域密着型を目指しているのか、数日続けて通うと「今日も○○にしますか?」と、顔を覚えて声をかけてくれることがある。

嬉しい人も多いかもしれないが、どこか落ち着かない。

ちょうど今日、私と同じような年代の男性客を見かけた。昨日は別の店で一緒になった客だ。

どこかで見かけたことがあると思ったら、その前週にまた別の店で見かけた人物だった。

声をかけられるのが苦手な人間は、私だけではなさそうだ。
指先で恥部を触ってはいるが、その手つきは遠慮がちだ。

「いつもそんなにぎこちないわけないよね?」

「…ん。やっぱり恥ずかしいよ、こんなこと…」

「彼氏の前ではオナニーしないの?」

「フツー、しないでしょ」

可奈は手を止め、拗ねるように言った。

「それはそうだ。ほら、手は休まない。ちゃんと集中して」

可奈は再び手を動かし始めた。

「で、今、気持ちいい?」

「…気持ち…悪く…はない…」

「オナニー見られるって、どんな感じなの?」

可奈は夢を見ているようなトロンとした表情をしたのち、静かに目を閉じた。

「…体が熱い…頭がぼーっとして…」

「興奮してるんだ」

「…ん…」

「――いいね。そのまま続けて」

可奈は頷き、目を閉じたまま、慣れない手つきで自慰を続けた。

しばらくぎこちなさが残っていたが、徐々に指の動きが滑らかになっていく。

「はァ…ハァ…」

中指と人差し指を軽くまげ、指先で花弁をまさぐるたび吐息を漏らす。

そして吐息を漏らすと、私の様子が気になるのか、少し目を開けて私を見る。

私が軽く頷くと、可奈は安心したように自慰を続けた。

そういったやり取りを数回繰り返すうち、可奈は自分の世界に没頭していった。

徐々に荒くなる呼吸に合わせるように、指先の動きも激しさを増していく。

最初はたまに聞こえた愛液の音もクチュクチュと響き続け、指先が激しく動くさまを伝えていた。

私は何も言わず、可奈の姿を視姦する。

可奈の呼吸が激しくなるにつれ、私の呼吸も荒くなっていった。

可奈は軽く屈んだような姿勢になり、上半身を上下に揺らしはじめた。

性感の波が高まると胸を開き、顔をあげ、顎を突き出すようにして、半開きの唇で天を仰ぐ。

そして波がすこし収まると、また俯いて指先に集中する。

「はっ…あ…うん…はぁ」

しばらくそういった行動を繰り返すうち、可奈の体が強張りはじめ、呼吸のペースが変わり始める。

「んんっ…」

搾り出すような声と共に、体が大きく揺れ、可奈は座ったまま上体を崩す。

「はぁ…はぁ…はァ…」

荒い呼吸音が室内に響き渡り、可奈の体がピクピクと痙攣するように脈打つのを見て、私は我にかえった。

いつの間にか身を乗り出し、両拳を膝の上で固く握り締めていた。

「可奈、座ったまま足を開いて」

可奈は照れながらも黙って頷き、私の目を見ながらゆっくり足を左右に開いた。

膝が開き、細めの太ももの奥から、ふっくらとした秘肉が露になる。光沢のある薄紫のショーツが、溝を中心に愛液に濡れているのが、対面に座る私にも簡単に見て取れた。

「濡れてるよ」

可奈に囁いた。可奈はばつが悪そうに俯いた。

「パンツをずらして、可奈の大事な所をみせてよ」

可奈は私に言われるまま、左手を伸ばして恐る恐るショーツの端を引っ張る。ショーツの裏地が引っ張られ、秘肉から離れると、愛液の音が響き、一部が僅かな光を放った。

しかし可奈の大事な部分は、暗めの照明とショーツの影、そして恥丘を中心にうっすらと生えた陰毛に隠され、私の位置からはまだ、はっきりとは見えなかった。

それでも可奈のあられもない姿を目前にして、私は生唾を飲み込んだ。このまま襲い掛かりたい衝動に駆られたが、興奮を表に出さないようにしたまま、可奈に声をかけた。

「可奈」

「ん…?」

可奈が顔を上げる。強気な表情をしていたが頬が紅潮し、瞳は今にも泣き出してしまいそうなくらい潤んでいた。

「オナニーはするの?」

「え? …えっと」

可奈の目が泳ぐ。短い時間だったが、言うか言うまいか迷っているようだった。

「…たまに」

そう言うと、後に引けないという様子で可奈は再び私を見る。

「どうやってするの?」

「指で…」

「指で…どうやってやるの?」

「えっと…指でアソコを刺激したり…」

「刺激って、クリトリスを触るの? それとも指を入れるの?」

「…りょ…両方」

「右手と左手の両方で刺激するの?」

「ううん。日によって違う…かも…」

「へえ…」

私は可奈の顔を見ながら自慰する様子を想像し、強く興奮していた。自分でも呼吸が荒くなっているのが分かった。

「――やってみてよ」

「えっ…」

「パンティずらしたまま、いつもやってるように指でオナニーしてみて」

さすがに恥ずかしかったのか、可奈は戸惑った。頬だけでなく顔中を赤く染めて無言で俯いた。

それでもしばらくすると、俯いたまま、可奈は震える右手をそっと伸ばした。

クチュ…

可奈の柔らかそうな白い中指が秘肉をさすると、指先に纏わりつくように愛液の音が静かな室内に響いた。

新玉葱の季節。

食品店の野菜売り場を見ると、柔らかくて美味そうな新玉葱が並んでいる。

小説「可奈」で書いたばかりだが、玉葱に血液をサラサラにする効果があるというのは、有名な話。

ところが、玉葱の血液をサラサラにする成分は、火を通しても水に晒しても、更には薄いスライスにするのもダメなのだという。

柔らかいとは言え、丸ごとかぶり付く気力などない。

そうなれば、血液サラサラの為に食べる玉葱は、水に晒さない、少々厚切りの、新玉葱サラダのみという事になる。

仕方がないので、少し厚みのあるスライス玉葱に、大量の鰹節と醤油を掛けて食べてみた。

――辛い。

当分、ドロドロ血液は治らなそうである。
「――父性…なのかな」

可奈はポツリとつぶやいた。

「ん?」

「私が求めているものって、甘えられるよりも甘えさせてくれる人? ……ううん。…それは違うな…」

自分の中の誰かに話しかけるように、可奈は話を続けた。

「彼は今のままでいいの。あのままの彼が好きなのだから…優しくて、自慢できる彼が…。もし彼が、そうでなくなったら、私はきっと、好きではいられなくなる…でも…彼はとてもピュア…というか、本当にサラサラしてて…」

「さらさら?」

「そう、血液さらさら」

「どういう事?」

「私はドロドロしてる、血液ドッロドロ。彼はサッラサラ」

可奈はそう言った後、意味深な笑みを浮かべた。

「彼は真面目な人間で、可奈は不真面目な人間だってこと?」

「ちょっと違うけど、そういう感じ…かな」

「それは彼氏を舐めすぎだ」

「そうかな~」

可奈が口を尖らせて私を見た。

「彼氏だって可奈と同じように、考えているかもよ」

「別の女にドロドロを求めてるかもしれないってこと? それはない。絶対」

「可奈だって、彼氏の前で彼にふさわしいイイ女を演じているんだろ?」

「うん。こう見えても私、彼の友達にも、ご両親にも結構評判いいんだ」

可奈は嬉しそうに言った。クールな女性を演じている職場では見たこともない、屈託のない、子どもっぽい表情をしている。

「そうか。それはすごいね」

「私の両親だって、彼のこと本当に気に入っちゃって」

「公認なんだ」

「うん。結婚したいし、若いうちに子どもも欲しい。あと、私――」

可奈が少し顔を近づけた。内緒話をするように、小声になる。

「彼との子どもなら、すっごく出来のいい、カワイイ子が産まれるんじゃないかって思ってるの」

「策略家だね。そんなに幸せなのに、物足りない?」

「んー」

可奈は表情を曇らせた。

「物足りないという言葉は、合っているようで合っていないのかもしれない…。なんていうか、今の私が自慢できる事って、要は世間の価値観なの。人が良いって言ってくれるもの、人が羨むもの…分かりやすいもの、形としてあるもの…それは私にとって必要で、無くしたくない…。今の世の中で生きていく為に必要だって分かっているの。でも、それは私が求めているものとは違う…というか…」

「可奈は何を求めてるの?」

「ドロドロでも許される場所…かな」

「ドロドロ…か。サラサラの自分を演じなくて済む場所ってことかな」

「うん。――いい人じゃなくても許されて、出来が悪くても、意地悪でも、性格悪くても許してもらえる場所――。悪口を言っても顰蹙を買わない場所――。…回りに気を使って、謙遜しないでいい場所――」

言葉を重ねるたび、可奈の表情が生き生きとしてくるのが分かった。自分の醜い部分を見つめ、それを一つ一つ確かめ誠実に言葉として吐き出す度、彼女の顔が明るく、魅了的になってゆく。

可奈にとっての告白は、自分の立ち位置を見つけ、新しい名や役割に似た何かを得るための儀式のように見えた。

「じゃあ、ドロドロとした部分を俺にもっと見せてもらおうかな」

私が可奈の顔と体を舐めるように見ると、可奈は私の目をじっと見つめ、含み笑いをした。
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或るS(soft sadist)であるhisokです。

都内在住。体験に基づいたSM小説と雑記のブログ。


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